米国アカデミー賞公認、アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2025」(略称:SSFF & ASIA)が2025年5月28日(水)TAKANAWA GATEWAY CITYでのレッドカーペットセレモニー&オープニングセレモニーを皮切りに6月11日(水)まで東京都内の各会場にて実施された。 「オンライン グランド シアター」では、リアル開催に先がけ4月24日に配信が開始、6月30日まで視聴可能となっている。
今回27回目を迎えた映画祭は今年のテーマを「creative active generative」とし、SSFF & ASIAの 現在地と未来図をテーマに掲げた。今年は、世界108の国と地域から4,592点の応募が集結!その中から選びぬかれた約250作品はリアル会場&オンライングランドシアターにて多くの人々を楽しませた。
2025年の映画祭では 日韓国交正常化60周年を記念し、「K-Short特別上映イベント」を6月1日(日)に「TAKANAWA GATEWAY CITY 」にて開催。 監督として2作品を出品した韓国の人気俳優ユ・ジュンサンがイベントに登壇した。 また、この前日5月31日(土)にはオープニングイベントとして「JAPAN-KOREA Friendly Concert」が同会場にて開催され、この日、ユ・ジュンサンはミュージカル俳優として、そして ユ・ジュンサンと親交の深い俳優のオ・マンソクも参加。日韓の歌手や俳優が一同に会し、温かい交流と素晴らしい歌声で感動を与えた。
韓ペンは今回、監督として、俳優、ミュージカル俳優としてなどさまざまな才能で人々を魅了し、韓国では“国民の夫”と称される程愛され、日本でも多くのファンを擁する ユ・ジュンサン氏に 光栄にもインタビューさせていただくことが叶った。ショートフィルムについてさまざまな貴重なお話を伺わせていただいた。

◆今回の 「ショートショートフィルムフェスティバル」では、「K-Short特別上映イベント」で上映された 『平穏は静寂にない』 と、オンライン上映で 『羽のように軽く』 の2作品を出品されました。 いずれもジュンサンさんご自身が監督、そして出演なさっています。 ご自身を監督するということは、逆にとても難しいような気がするのですが、いかがですか?
私は自費で撮影を行っているので、制作費の節約のためにも、私自身が出演するのがよいという状況があります。はじめは自分自身を撮影することにちょっとぎこちなさを感じました。今回出品したショートフィルムのあとに長編映画を撮ったのですが、そちらにも私自身が出演した部分があります。いろいろ撮っていくにつれて少しずつ慣れて来て、そして何よりも自分自身が監督ですから、監督の求めていることが一番よくわかっているのが逆に良かったのではないかと思っています
◆2025年は韓国とモンゴルの外交関係が樹立して35周年という節目の年だそうですが、『平穏は静寂にない』はジュンサン監督が 心の平穏を求めてモンゴルへ向かうところから始まります。 モンゴルをこのショートフィルムの撮影の場に選んだのはなぜですか?
まず、私は砂漠が好きなのでモンゴルを選びました。ゴビ砂漠に行ったのですが、韓国語で「ゴビ」は「苦悩」とか「峠」とかの意味があります。砂漠に行ったら「平穏」を見つけることができるのだろうかという疑問から始まりました。
――― いろいろなモンゴルの姿を見ることができ、旅をしたような気分になりました。
そういう意図で作りました。 一緒に旅行をしたような気持ちを感じていただけたら嬉しいです。
◆ジュンサン監督が描くショートフィルムの世界とは?
私の作品の中に日本の富士山で撮影した『Spring Song』 という作品があるのですが、日本の方たちがまだ見たことのないような空間がその映画の中にはあります。 撮影した時、本当にたくさん雪が降っていました。 実は私の妹は日本語の先生をしていて、通訳としてその時日本へ同行してもらっていたのですが、雪の中で撮影していた時、富士山の麓で待っていた妹から電話がかかってきて「あと一時間以内に下山しないと、そこから下りて来られなくなる」と言われました。そんな大変な天候でしたが、雪の降る本当に美しい富士山の景色をなんとか撮影して下山しました。 とても苦労しながら頑張って撮影したので、日本の方たちがその場面をご覧になったらきっと「富士山ってこんなに綺麗なのか」と感じていただけると思います。 あ!その映画の中には私がとても好きな日本の映画、岩井俊二監督の『ラブレター』をオマージュした部分があるんです。あの有名な「お元気ですか~~?」と叫ぶシーンです。釜山映画祭には出品できましたが、他の地域での出品が叶いませんでした。なので、日本のみなさんにはいつか絶対にお見せしたいと思っています。
◆ジュンサン監督は大学で映画演出を専攻なさったそうですが、監督にとって ショートフィルムの魅力、面白さは?
最初は長編映画を撮っていたのですが、撮りながら自分自身が考えている話を短編映画にしたいと考えはじめました。短い時間の中で私自身が考えている人生に関することを、少しでも観客のみなさんと分け合いたいと思ったんです。一般的な人生観というよりは、私自身の独特な考えをみなさんに伝えたかったのです。
◆逆にショートフィルムの難しいところは?
短い時間の中にいろいろな考えをつめ込めなければいけないところが難しいですね。というより、いろいろな考えを入れればいいという単純さが、逆に難しいと思います。ドラマなどではケンカをしたり、人が死んだりとかありますが、私が制作するものに関しては、そのような深刻なテーマやジャンルはあまり好みません。自然な姿で人生についていろいろと考え、気づいていくというような内容が私には合っていると思います。 シンプル、でもちゃんと話がつながっているものでないといけないというところが、短編映画の難しさではないかと思います。
―――『平穏は静寂にない』では途中、画面に文字がたくさん出てくるののがすごくわかりやすく、その時のジュンサン監督の気持ちがよく伝わってきました。そして文字のフォントがすごく可愛かったです。
良く理解してもらいたいと意図的に文字を入れてみました。みなさんが面白く思ってくださったらいいなと思っていましたので成功ですね(笑) あのフォントもあえて可愛い感じのものを選びました。

◆韓国の映画は日本の映画に比べてカット数が多いのが大きな特徴ですが、ジュンサンさんが監督をなさる時はどのようなことを意識して撮影していますか?
たしかにカット数が多いと思います。私が撮影する時は、たくさんの人を撮影すると逆に細かいカット数を増やせないので、少人数で小規模にしていろいろなカットをたくさん増やして撮っています。なのでドラマや長編映画のようにスピーディーにストーリーが進んでいくというよりは、自分の考えをじゅうぶんに込められるよう、多様なカットを入れて撮影しています。
◆今回のショートショートフィルムフェスティバルでは 監督、俳優として参加のほか、ミュージカル俳優・歌手としてコンサート(5月31日開催)にも参加なさいました。 コンサートはいかがでしたか?
参加できて本当に幸せでした!私の歌声を観客のみなさんが大変喜んで聴いて下さり、とても嬉しかったです。昨日は日本の歌手・俳優の方たち、そして私たち韓国の俳優二人が一緒に友達のようにコンサートを進行しましたが、これからも日韓の歌手や俳優が合同で行うイベントはこうでなくてはいけないと思えた素晴らしい時間でした。
◆今回、ショートショートフィルムフェスティバルに参加なさったご感想をお聞かせください
コンサートに参加できてよかったですし、日本の映画祭に監督として来て、まさかコンサートにも参加するとは思っていなかったです。 SSFF&ASIA代表を務める別所哲也さんがミュージカル俳優さんだということもあり、いろいろなつながりで今回の映画祭に参加することができて本当に幸せでした。こうして映画祭に参加して幸せな気持ちになり、良い日本への旅となりました。
◆最後に日本のファンのみなさんにメッセージをお願いします。
これからドラマの『旅屋おかえり』という作品が放映される予定なので、ファンのみなさまにはその作品を通してお目にかかれると思います。以前は公演などで何度も来日していましたが、歳を重ねコロナ禍なども影響して来る機会が減っていました。でも、今回久しぶりにみなさんにお目にかかり、またたくさんお会いできたらいいなと心から思いました。いつも応援してくださり本当にありがとうございます。
text & photo : Chizuru Otsuka
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【韓ペンオリジナルレポ】
~ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2025「K-Short特別上映イベント」~
国民の夫と称される俳優ユ・ジュンサンが監督作品と共に登壇! 親交の深い オ・マンソクも飛び入り参加! ➡ https://kanpen.asia/archives/89476
【ショートショートフィルムフェスティバル& アジア2025概要】
■映画祭代表:別所哲也
■開催期間:
★オンライン視聴期間
4月24日(木)〜6月30日(月)オンライングランドシアター
※期間により配信プログラムが異なります。
★会場イベント&上映
5月28日(水)オープニングセレモニーTAKANAWA GATEWAY CITY
5月29日(木)〜6月1日(日)TAKANAWA GATEWAY CITY
6月3日(火)、4日(水)赤坂インターシティコンファレンス
6月6日(金)〜10日(火)WITH HARAJUKU
6月6日(金)〜8日(日)LIFORK HARAJUKU
6月11日(水)アワードセレモニーLINE CUBE SHIBUYA
■チケット:
<オンライングランドシアター>
オンライングランドシアター鑑賞パスポート2,500円(日本国内)/ 15米ドル(日本国外)https://app.lifelogbox.com/shortshortsonlinegrandtheater
<東京会場>
・プログラム券(前売り) 一般1,500円、学生、シニア、障がい者割引1,200円未就学児(小学生未満)無料
・プログラム券(当日券)一般1,800円、学生、シニア、障がい者割引1,500円未就学児(小学生未満)無料
・パスポート購入ページURL https://ssff2025passport.peatix.com
※ 表参道ヒルズスペースオー、WITH HARAJUKU HALL
対象一般7,000円学生、障がい者割引5,500円
■一般からのお問い合わせ先:info@shortshorts.org
■オフィシャルサイト:https://www.shortshorts.org/2025
■主催:ショートショート実行委員会/ ショートショートアジア実行委員会
K-SHORT特別上映イベント
6月1日(日)13:30~15:30
会場:
TAKANAWA GATEWAY Convention Center LINKPILLAR Hall A・B
国民の夫ユ・ジュンサンが自身の監督作品と共に来場
<K-SHORT特別上映イベント ラインナップ>

『平穏は静寂にない』(A Peaceful Mind Is Not Stillness』)
監督:ユ・ジュンサン/ドラマ/2022/0:27:00
過酷な撮影を終えたユ・ジュンサンは、心の平穏を求めてモンゴルに向かう。 砂漠への旅は容易ではなく、ジュンサンは自分がどこへ向かっているのか、無数ある道のどれが正しい道なのかを見極めようとあがく。
『うちに来る?」 (Will You Come Up? )
監督:Ho-seung Son /ホラー /2024/0:19:54
名門大学出身にも関わらず、過去の誤った選択のためにアパートの警備員として働いている主人公。 悪夢のような状況が生じ、彼は再び試練にさらされることに。 今回はどんな選択をするのか?
『10月の出来事』(In October)
監督:OJun Kwon / ドラマ /2024/0:31:12
人それぞれ数は違えど、人間は誰もが心に小さな穴を抱えて生きている。その穴を抱えたまま前に進むものだが、今日、初めて完全に覆い隠すことになる。<オンライングランドシアター特別上映 / 4月24日~5月27日>
『羽のように軽く』(Light As a Feather)⇇オンライン上映
監督:ユ・ジュンサン /ドラマ /2021/0:27:00
南米でNGO職員として働いたあと、韓国で少しの間過ごすことになった女性についての短編作品。
【ショートショート フィルムフェスティバル & アジア】
米国俳優協会(SAG)の会員でもある俳優 別所哲也が、米国で出会った「ショートフィルム」を、新しい映像ジャンルとして日本に紹介したいとの想いから1999年にアメリカン・ショート・ショートフィルムフェスティバル創立。2001年には名称を「ショートショート フィルムフェスティバル(SSFF)」とし、2004年に米国アカデミー賞公認映画祭に認定されました。また同年、アジア発の新しい映像文化の発信・新進若手映像作家の育成を目的とし、同年に「ショートショート フィルムフェスティバル アジア(SSFF ASIA 共催:東京都)」が誕生し、現在は 「SSFF & ASIA」を総称として映画祭を開催しています。2018年に映画祭が20周年を迎えたことを記念し、グランプリ作品はジョージ・ルーカス監督の名を冠した「ジョージ・ルーカス アワード」となりました。 2019年1月には、20周年の記念イベントとして「ショートショートフィルムフェスティバル in ハリウッド」が行われ、また、2019年の映画祭より、ライブアクション部門(インターナショナル、アジアインターナショナル、ジャパンの各カテゴリー)およびノンフィクション部門の各優秀賞4作品が、2022年からはアニメーション部門の優秀賞を含む5作品が、翌年のアカデミー賞短編部門へのノミネート候補とされる権利を獲得しました。SSFF & ASIAは映画祭を通じて引き続き、若きクリエイターを応援してまいります。
【公式ウェブサイト】https://www.shortshorts.org