
韓国を代表する俳優ハン・ソヒ&チョン・ジョンソがW主演を務めるクライムサスペンス映画『PROJECT Y』(読み:プロジェクト ワイ)が、2026年1月23日(金)よりT O H Oシネマズ 日比谷ほか 全国公開となる。(配給:日活/KDDI)
第50回トロント国際映画祭、第30回釜山国際映画祭でのプレミア上映で話題を呼んだ映画『PROJECT Y』は、ソウル・江南の欲望渦巻く歓楽街を舞台に、幼い頃からドン底生活を送る中、生きぬくために強くなるしかなかったミソン(ハン・ソヒ)とドギョン(チョン・ジョンソ)という二人の女が、底辺から抜け出すため命がけで80億ウォンの金塊を盗み出すというストーリー。
W主演を務めるのは、ドラマ『夫婦の世界』(20)でブレイクを果たし、『わかっていても』(21)、『マイ・ネーム:偽りと復讐』(21)と話題作に立て続けに出演し、アクションからロマンス、時代劇までジャンルを問わない演技力で確固たるキャリアを築いてきたハン・ソヒ。 そして、イ・チャンドン監督作『バーニング 劇場版』(18)で鮮烈なデビューを飾り、圧倒的な演技力と存在感で観客の心を虜にするチョン・ジョンソ。
メガホンをとったのは大胆な題材とインパクトのある演出で韓国映画界に新風を吹き込むイ・ファン。これまでに、韓国社会で生きる若者が直面する問題を掘り下げた作品を発表し、その社会意識の高さが評価されてきた。
長編3作目となる本作の日本全国公開に先駆け、イ・ファン監督が作品のPRとして初来日!
映画『PROJECT Y』イ・ファン監督来日記念トークショー付き試写会へ登壇した。
(※試写会では、釜山国際映画祭ver.を上映)
本イベントでは 2025年秋に公開され各国の映画祭で高い評価を得た作品『愚か者の身分』の永田琴監督をゲストに迎え、トークセッションを行った。 永田監督は同じ監督ならではの着眼点でイ・ファン監督に質問を投じ、イ・ファン監督も丁寧に応えた。
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『PROJECT Y』は旬なキャストの起用、色合いや音楽ほか新鮮なセンスがありつつも、昔ながらの韓国ノアールの重厚さもある。このようなアイディアや企画はどのようにして生まれたのかを聞かれると
イ・ファン監督 「実は初案の段階では男女の壮絶なラブストーリーだったのですが、一度制作が保留になってしまったため、『パク・ファヨン』『大人たちにはわからない』という2作品を先に撮りました。その後再びこのシナリオに戻った時、これを ジャンル映画にしよう、犯罪ノワールを描いた作品にしようと思いつき、シナリオを修正しました。その段階で、男女ではなく女性二人が主人公のストーリーが完成されました。シナリオの修正をしている過程で参考にしたくていろいろな人にインタビューしたのですが、その中に夜の仕事をしている人がいて、その人の知り合いの年上女性が妹分の女性を ある男性に紹介し会わせたところ、ちょっとお金をもらうようになったり、闇の商売をするようになったことを話してくれました。もちろん夜のお仕事をしている人全員がそうだというわけではありません。でも、そんな例を耳にし、そこにちょっと着目し、ドギョンの母親であるガヨンというキャラクターを思いつきました。母親ガヨンと娘のドギョンの関係ですが、母親は実の娘であるドギョンをまるでペットの犬のように扱います。必要な時には連れてきて、必要がなくなるとまた託児所のようなところに預けて、また必要になれば連れてきて面倒をみるということを繰り返していました。それがどんどん悪循環になっていく中、ドギョンはミソンと出会います。2人は一緒にいることでお互い癒しを感じていました。ガヨン、ドギョン、ミソンはまるで疑似家族のような関係になっていきます。そしてドギョンとミソンの二人が大人になり独立した時、良くない状況に置かれることとなり、またガヨンと再会して… というストーリーを思いつきました」

すでに『PROJECT Y』を鑑賞した永田琴監督は、イ・ファン監督の今の言葉を聞き
永田琴監督 「やはりあのお母さんがキーパーソンだったのですね。登場人物の中でもお母さんのキャラクターが面白くて…。 最初に登場した時、なんだかヤバい女性が出てきたなと思いました(笑) でも、ヤバいけれども娘のことを考えていないわけでもなく、最終的には自分を犠牲にして、娘を旅立たせる、生かす手段を取っていく姿とか、笑顔がかっこよく見える瞬間があり、印象的でした」

イ・ファン監督は永田琴監督が母親ガヨンの存在に注目してくれたことが嬉しかったようで
イ・ファン監督 「私なりの映画の作り方、キャラクターの配置の仕方があるんです。主演俳優がいて、そこに助演のかたたちなど他の出演者を組み合わせ、熾列に戦わせたり、絡み合わせたり….。 そんな配置にしてシナリオを書くのがとても好きなんですね。『PROJECT Y』ではミソンを演じたハン・ソヒさん、それからドギョン演じたチョン・ジョンソさん、この 二人が主役ではあるのですが、他の要素として助演のかたたちとか他の人物も登場させて、どんどん主人公たちと絡めることによってこの映画に力を与えたいと考えました」
と語った。
主演のハン・ソヒとチョン・ジョンソの二人のケミの良さを引き出すためにどのような演出を行ったのか、イ・ファン監督自身の俳優としての活動経験は監督をする上で何か影響しているかを聞かれ、
イ・ファン監督 「ミソンを演じたハン・ソヒさん、ドギョンを演じたチョン・ジョンソさんの二人に対しては、とにかくやりたいことをしていいと伝えました。できることを自由にやってほしいと思い、そのような雰囲気を作ることに努めていました。そしてもう一つ、二人に伝えたのは、二人が何をしても間違いではない、とにかく何をしても現場では何も怒ったりしないから大丈夫だということです。思いきりやりたいことをやってほしいと考えながら演出をしていました。 でも現場で二人の演技を見て、『これはこうした方がもっといいかも』と私の中でアイデアが浮かんだ時には、その場で話し合い、二人が同意してくれたら、『じゃあこんな風に撮ってみようか』と提案し、撮り直したりもしました。そんな風にしながら二人の良い演技を見い出していきました。二人が持つ俳優としての素晴らしい点もうまく活かせたと思っていますが、二人はもともと普段から本当に仲がいいので、その化学反応もこの映画の中に入れたいと思いました。それがオープニングシーンにも現れていると思います。仕事先に向かうような場面から始まりますが、二人のケミがうまく現れているという点で、私はオープニングシーンが大好きです」

『愚か者の身分』にて釜山国際映画祭で北村匠海、綾野剛、林裕太の3人同時に最優秀俳優賞を受賞した永田琴監督は撮影時、演出やキャストとどのように向き合っているかを尋ねられ
永田琴監督 「『愚か者の身分』を撮影した7月 、8月は暑すぎたので、現場で長い間やり取りしないということをメインとしていました。 まず、控室で私が話したいことは話す、向こうが気になっていることも聞くという準備をして、現場ではすぐに動き始めてもらいました。私は彼らが何を表現しようとしたかをよく見て、その時のちょっとした仕草や表情で伝わっているかどうかとか、その後のシーンにどう影響するかということに注視し、より広げた方がいいと感じた時は、その表情をもっと強くお客さんに届く感じでやってみてほしいと伝えたり、ちょっとオーバーだったらそこはあんまり表現しない方がいいと伝えました。本当に暑かったので、本番寸前に現場に行き、ダラダラしないことをまず目標にしてたので、とにかくよく見てきちんと伝えるという感じでした」
その永田琴監督作品 『愚か者の身分』を観て
イ・ファン監督 「来日に際し、日本の監督と対談すると聞きました。その後、永田監督の作品を観て、『だから今回の対談が叶ったんだ』とその理由がすぐに分かりました。永田監督の作品は私の作品と似ているところもたくさんあったと思います。雰囲気や情緒感情の表現も似ているところがあると思いながら拝見しました。俳優さんたちの演技が素晴らしく、とても際立っていて、さらにパワーもあると思いました。 とても怖いキャラクターも登場していましたし、行き場がなくてあちこち彷徨っているような若者の姿を、永田監督は男性バージョンで、そして私は女性バージョンで撮ったわけですが、男女の違いはありますがとても似ているという印象を持ちました。そして永田監督に是非聞いてみたいと思っていたことがあります。日本語のタイトルは『愚か者の身分』ですが、韓国語のタイトルは直訳すると『愚かなものは誰なのか』というタイトルになっています。あのタイトルの意味を聞きたいと思っていました。この映画の中には彷徨う若者が登場し、日本語のタイトルとは違うのですが、これは反語法という形で、このようなタイトルにされたんでしょうか?」
永田琴監督 「ある意味そうなのですが、原作が『愚か者の身分』というタイトルだったんです。ちょっと硬すぎる印象や文学的すぎる印象があり、それをそのまま使うかどうか、実は迷いました。最終的にやはりその愚か者という言葉の意味が反語的なイメージを持っているし、“自分たちの大事なものに気づけない若者”という意味を私が監督という立場で作る映画の中で表現したかったし、反語的な意味も作れるかなと思い、原作のタイトルのままもらうことにしました」

永田琴監督からイ・ファン監督への質問として
永田琴監督 「スキンヘッドの女性・ブルがめちゃくちゃ怖くて(笑) あの人を女性にした意味を知りたかったです。『愚か者の身分』には、ご覧になった方たちから『金歯がめちゃくちゃ怖い』と言われる人物が出てきます。『そんなに怖いかなぁ?』と思っていたのですが、『PROJECT Y』であの女性が出てきた瞬間に『怖い!!』って(笑) 怖いと感じる気持ちがわかりました。スキンヘッドになりきらない微妙な2ミリカットとか…全部が怖かったです。 あのキャラクターについてちょっと聞きたかったです」
イ・ファン監督 「実は最初に書いたシナリオでは、このブルというキャラクターはドギョンの母親・ガヨンと似たような女性という設定でした。ブルは自分の娘が自殺した背後にト社長がいたことを知り、いつかト社長に復讐するために手下になったという設定だったのですが、その設定まで入れてしまうとあまりにもストーリーが長くなってしまうため、途中から変更しました。ト社長とソックの男性二人がミソントドヨンの女性二人に手出しし関与します。そこで女性同士の泥試合も付け加えたいと思い、ドギョンの母親ガヨンとこのブルの二人が戦う構図も一つ入れようとキャラクターを変えました」
と、驚きのエピソードを披露した。

引き続き永田琴監督から 『PROJECT Y』の主人公を女性にしようと考えた根源的な部分について尋ねられると
イ・ファン監督 「この 『PROJECT Y』の前作『パク・ファヨン』『大人たちにはわからない』という作品もやはり女性が主人公でした。その理由は、家族映画を作りたいという気持ちが強く、女性をメインにしました。でもこれらを見た方の感想は“非常に壮絶な物語だった” でした…。ということは、私はうまくその映画を作れなかったのかなと思いました。今回の『PROJECT Y』においても、実は家族の物語も隠れています。先ほど言ったように母親ガヨンと、ミソン、ドギョンの三人が疑似家族のような関係になっています。ドギョンとガヨンという実の母娘を登場させることによって、この家族の運命がどうなるかを見せたいと思いましたし、“家族の軛”というものも表現できるのではないかと思いました。その上でそこばかりを目立たせるのではなく、ジャンル映画の楽しみも味わっていただくために、クライムサスペンス映画という枠を借りてこの物語を作ろうと思いました。ジャンル映画の楽しみを知っていただくためにも、できる限りスピード感のある速いテンポの編集を心がけ、母親と娘の関係はあまりあからさまにはせずに裏に隠すような感じで撮ってみたので、その点も感じていただけたら嬉しいです」

『PROJECT Y』の 『Y』 は何を表しているのかを聞かれ
イ・ファン監督 「この『Y』は英語で考えるとさまざまな単語が浮かびますよね? 若いという『Young』、あなたを表す『You』、あなたのの『Your』とか、いろいろな意味が込められています。少し抽象的なタイトルかもしれませんが、実はこのタイトルには私の欲が入っているんです。 映画というものは、撮影現場で俳優やスタッフと一緒に本当に頑張り、ベストを尽くして作るものです。でもそうやって作った映画は上映されたその結果で留まり、その先はご覧になった皆さんに委ねられます。皆さん個々の視点でその映画を完成させてくださると思っています。観客の皆さんに委ね、自分の映画として『じゃあ、あなたは?』という問いかけます。そしてまたある時には、『Y』と完全に同じではないですが、なぜ?どうして?の『whY?』、“どしてなの?”“この映画はどうなの?”というような問いかけをしてこの映画を自分なりに完成してほしいという思いがありました。そんな風に『Y』にはいろいろな意味が込められています」
この言葉を聞き
永田琴監督 「『愚か者の身分』をフランスで上映した時、映画で使われる関西弁などのニュアンスは字幕ではわからないし、キャラクターの仕分けなどもわかりにくいのではないかと思っていました。ではどんなところを楽しんでくれたのかというと、作品は3部構成になっていて、第1部ではまだちょっとわかりにくく、2部でだいぶ立体的になってきて、3部ではどんどんどん人間関係とかが立体的になっていきます。 元々私の中ではご覧になる方の力を借りて、それぞれ自分の中で構成しながら楽しんでもらえる映画にしたいという想いがありました。個々に委ねるという意味ではイ・ファン監督と同じ考えだと感じました」
と、お互いの作品に接点を感じすっかり意気投合した様子だった。

最後に
イ・ファン監督 「この映画は楽しんで観ていただきたいという想いで撮り始めましたが、途中から欲が出て来て、隠された意味を込めてみたり、メタファーなども仕込んでみたりしました。それらについては気づいていただいても気づいていただかなくても大丈夫です。とにかくみなさんに楽しんでいただきたいという想いでいっぱいです。楽しんでいただくためにもスピードを感じられる速いテンポの編集を心がけましたし、主演二人をはじめみんな一緒になって現場で楽しみながら撮影することができました。みなさんにとっても楽しんでご覧いただける映画になることを期待しています。1月23日(金)には公開されますので、どうかクチコミも広めてください。そして私たちがまた来日できるようにお力を貸してください。今日はありがとうございました」
と、再度本作品への想いを込め挨拶をした。このあとフォトセッションを行い映画愛溢れるトークセッションは終了した。
text & photo : Chizuru Otsuka
イベント概要
【タイトル】映画『PROJECT Y』イ・ファン監督来日記念トークショー付き試写会
【日時】12月22日(月)
【場所】アキバシアター
【登壇者(敬称略)】イ・ファン監督、永田琴監督 MC:新谷里映 通訳:根本理恵
※本試写会では、釜山国際映画祭ver.を上映

本予告映像YouTubeリンク:https://youtu.be/dMp7UqWvL6w

【STORY】
欲望渦巻く眠らない街・ソウルの繁華街で、ミソン(ハン・ソヒ)とドギョン(チョン・ジョンソ)は日々生き延びるために必死に金を工面していた。「昼は働き夜は眠る」── そんな普通の生活を夢見る二人は、その第一歩として、勤め先のフラワーショップの事業を継ぐという目標を達成する日も目前に迫っていた。しかし、夢が叶おうとしたまさにその時、ある人物から騙されていたことがわかり、すべてが粉々に砕け散る。追い詰められていく二人は、街を牛耳るト社長(キム・ソンチョル)がソウル近郊のどこかに大金を隠しているという情報をつかむ。一攫千金の大チャンスを目の前にした二人は、人生を懸けた危険極まりない大勝負に乗り出した──!







■出演:ハン・ソヒ、チョン・ジョンソ、キム・ソンチョル、キム・シンロク、チョン・ヨンジュ、イ・ギェジュン、ユア(OH MY GIRL)ほか
■監督:イ・ファン『大人には分からない』
■音楽:GRRAY『バレリーナ』
■提供:KDDI
■配給:日活/KDDI
<権利表記>
◆監督:イ・ファン
◆出演:ハン・ソヒ、チョン・ジョンソ、キム・ソンチョル、キム・シンロクほか
■タイトル:PROJECT Y (読み:プロジェクトワイ)
■提供:KDDI
■配給:日活/KDDI
■公開表記:2026年1月23日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
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■公式X:@projecty_jp(https://x.com/projecty_jp)
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2026 年 1 月 23 日(金)より TOHO シネマズ 日比谷ほか全国公開