【韓ペンオリジナルレビュー】~映画『ペナルティーループ』~3月22日(金)より 新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサ ほか全国公開!最愛の恋人を殺された男。加害者を殺害し復讐を果たすも、翌朝目が覚めると昨日のままで加害者も生きている….そんな日が繰り返される最悪のループ

【韓ペンオリジナルレビュー】

映画『ペナルティーループ』が3月22日(金)より 新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサ ほか全国公開される。


若葉竜也演じる岩森淳は いつものように恋人の砂原唯(山下リオ)を仕事に送り出す。 そんな当たり前の日常が突然壊される。伊勢谷友介演じる溝口登によって唯が殺害されてしまう。
大切なものを奪われた憎しみから岩森は殺人を計画し、溝口に復讐を果たす。溝口を殺害し、重い死体を懸命に運び、水に沈める。心身共に疲れ果て自宅に戻り、眠りにつく。そして、やがて朝を迎える。朝6時、いつもと同じようにアラームがわりのラジオから、おなじみの挨拶と花言葉が聞こえてくる。不思議なことに、花言葉は前日聞いたのと全く同じ。聞こえてくる日付も変わらず6月6日のまま。そして自分が殺したはずの溝口が何故か生きている。愕然とした岩森は再び溝口を殺し水に沈める。
しかし、何故か次の朝も6月6日、そして溝口は生きている。殺しても殺しても、一晩寝るとまた日は戻り、殺さなくてはいけない。日々繰り返されるうちに、溝口も、自分が殺されることに気づき始める。
タイムループしていく中で、少しずつ毎日変化が起きていく。そして二人の関係も変化していく。このループ、終わる日は来るのか? どんな形で結末を迎えるのか??

この映画を観ていると、何度も何度も繰り返される殺人にちょっと閉口しながらも、朝6時のラジオの声を聞きながら「今日は一体どの部分が変わるんだろう?」「今日はどうやって殺す?」と、話が進むにつれ自分の中に妙な期待感が湧いてくる不思議な感覚を覚える。

本作品のポスターには返り血を浴びた主人公の岩森が何人も写っている。ループして何度も溝口を殺した、毎日の岩森の姿を現しているのだろう。その表情には恋人を失った絶望、繰り返し行う殺人への疲労などが表れている。岩森はタイムループしていることに戸惑い、翻弄されながらも、どんどん狂っていく。何度も殺人を繰り返すうちに、何故かちょっと親しくなった溝口のことを、ある瞬間、無慈悲に残虐に殺す。しかし、殺人をしている時以外は、ほぼ活力を感じられない無気力な淡々とした若者、岩森を若葉竜也があまりにも自然に演じていた。岩森の働く工場は人との交流も他人に興味も無い人たちがもくもくと働いている。現代社会の空虚感を感じさせる。

反対に、ひょうひょうとした部分や開き直る図太さを持った溝口を伊勢谷友介が見事に演じていた。この役は伊勢谷友介でなくては成立しなかったのではと感じた。メヂカラの強い伊勢谷友介の目がその時その時の溝口の心理を語っていた。

毎日起こるタイムループに『ドライブ・マイ・カー』で知られる韓国人俳優 ジン・デヨンがキーパーソンとして登場し、不思議な世界をさらにミステリアスなものにする。ジン・デヨンの出演シーンはあまり多くは無いが、強烈な印象を残す。不気味な表情を浮かべ、観る側を不思議なタイムループの世界に誘ってくれる。
劇場で不思議な空間を感じて欲しい。

Text: Chizuru Otsuka

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映画『ペナルティループ』

© 2023『ペナルティループ』FILM PARTNERS
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映画『ペナルティループ』は 3 年 22 日(金)より新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほか全国公開


<ストーリー>「おはようございます。6 月 6 日、月曜日。晴れ。今日の花はアイリス。花言葉は” 希望”です」——岩森淳が朝 6 時に目覚めると、時計からいつもの声が聞こえてくる。岩森は身支度をして家を出て、最愛の恋人・砂原唯を殺めた溝口登を殺害し、疲労困憊で眠りにつく。
翌朝目覚めると周囲の様子は昨日のままで、溝口もなぜか生きている。そしてまた今日も、岩森は復讐を繰り返していく。

脚本・監督:荒木伸二
出演:若葉竜也、伊勢谷友介、山下リオ、ジン・デヨン
配給:キノフィルムズ 製作:木下グループ 映倫:PG12 上映時間:99分

公式サイト:https://penalty-loop.jp   

公式Twitter(@PenaltyLoopfilm):https://twitter.com/PenaltyLoopfilm
© 2023『ペナルティループ』FILM PARTNERS

3 月 22 日(金)、新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほか全国公開