『八月のクリスマス』や『危険な関係』で知られる名匠ホ・ジノ監督の最新作『満ち足りた家族』が2025年1月17日(金)より全国公開となる。
日本全国公開に先駆け、2024年11月20日(水) TOHOシネマズ 六本木ヒルズ スクリーン7にて 俳優 チャン・ドンゴン とホ・ジノ監督が登壇し <映画『満ち足りた家族』ジャパンプレミア>が行われた。
―――― 弁護士の兄と医者の弟。
それぞれに美しい妻を持ち、高校生の娘・息子を育ておだやかに何不自由ない満ち足りた日々をすごしてきた2つの家族がある日、子供たちに関する恐るべき秘密に直面し、困難な選択を迫られる。平穏な日々がある日突然一変し運命が狂い始める ――――
そんな衝撃作品のメガホンをとったのは その演出力と才能に多くの俳優陣が絶大な信頼が寄せ、出演を嘱望する名匠 ホ・ジノ監督。 弁護士の兄を演じるのは 作品ごとに完璧に表情や表現を変える才能からカメレオン俳優と称される ソル・ギョング。 そして弟で小児科医ジェギュを演じるのは韓流四天王の一人、チャン・ドンゴン。 チャン・ドンゴンは本作品にて約5年ぶりにスクリーン復帰を果たした。
2023年のトロント国際映画祭にてワールドプレミアされ高評価を受けた他、20前後の映画祭に入選する快挙を達成した素晴らしい功績を持つ本作品について、ジャパンプレミアに登壇したホ・ジノ監督とチャン・ドンゴンの二人はとても丁寧且つ熱く語ってくれた。
MCの呼び込みでチャン・ドンゴンとホ・ジノ監督が会場に登場すると大きな拍手と 「わぁぁぁっ!♡」という黄色い歓声が上がった。
チャン・ドンゴン: こんばんは、チャン・ドンゴンです(←日本語) 久しぶりに作品をもってみなさんに直接お目にかかることができてとてもありがたく思っています。 みなさんにお会いできてとても嬉しいです。 本作品はまだ公開前ですが、みなさん、たくさんの関心を寄せていただき、また貴重なお時間をさいて来てくださり本当にありがとうございます。
ホ・ジノ監督: こんばんは~。ホ・ジノです(←日本語) アンニョンハセヨ。お会いできて嬉しいです。 ホ・ジノ監督です。本作にたくさんの関心を寄せていただきありがとうございます。 今日はチャン・ドンゴンさんと一緒にこの作品をみなさんにご紹介できると思うととても嬉しいです。 このあと映画を是非お楽しみください。
2023年のトロント国際映画祭を皮切りに、約1年間さまざまな映画祭を経て先月10月韓国にて公開、日本ではこの日のジャパンプレミアが初お披露目の場となったことについて、今の気持ちを聞かれると
チャン・ドンゴン: この映画が初めて公開になったのは昨年秋のトロント国際映画祭でしたが、海外のみなさんの反応が良く、とても安心したことを覚えています。 海外の観客のみなさんは文化の違いがあるにも関わらず本作の細かい部分まで共感していただいたことに安堵しました。 そして1年を経て今年秋、韓国にて公開され、メディアそして観客のみなさんに高評価をいただきました。 今度は日本のみなさんがどのようにご覧になるか、とても楽しみでワクワクしています。
ホ・ジノ監督: トロント国際映画祭でこの作品が初公開されたことを皮切りにして、私の今までの作品の中で一番数多くの映画祭に招待された作品となりました。 韓国での公開後も予想以上に国内外のみなさんの反応が良かったです。 そしてついにここ日本でも公開されることになりました。 日本の観客のみなさんがどのようにご覧になるか本当に楽しみにしています。
と、海外や韓国国内で高評価を得た本作が日本ではどのように評価されるのか、とても気になる様子だった。
マイクについているカバーに映画タイトルが書かれていたが、ホ・ジノ監督が他面を正面に向けてもっていることに気づいたチャン・ドンゴンは優しく声をかけ正面向きにかえるお手伝いをする微笑ましい姿も!
ホ・ジノ監督とチャン・ドンゴンは 映画『危険な関係』以来の久々のタッグとなったことについて聞かれると、一緒に仕事をするのが何年ぶりかチャン・ドンゴンに確認するホ・ジノ監督。
ホ・ジノ監督: 自分の感覚の中では5~6年ぶり、長くても7~8年ぶり程度だと思っていましたが、なんと12年ぶりとなりました。 またこうしてチャン・ドンゴンさんとお目にかかれてとても嬉しく思います。本作においても一緒に撮影をしましたが、現場はとても楽しいものになりました。 チャン・ドンゴンさんといろいろお話をして行く中で、ジェギュというキャラクターを作りあげていきました。 ドンゴンさんは素晴らしい演技を見せてくださいました。
チャン・ドンゴン: 昔、ホ・ジノ監督の『8月のクリスマス』という作品を観て、是非いつか監督とご一緒したいと思っていました。 その後、オール中国ロケ作品 『危険な関係』で監督とご一緒することが叶いました。 その時、今まで出会ったことがない新しい演出スタイルをお持ちの監督だと思い、最初は適応するのに少し苦労したこともありましたが、とても楽しく興味深い現場となりました。 ホ・ジノ監督は私たち俳優をとてもリラックスさせてくださいます。 そして 色んな事に粘り強く取り組まれる監督です。 俳優の話に耳を傾け、理解していただくことは演じる上でとても大切だと思うのですが、ホ・ジノ監督はそれをして下さるかたなので、私たちにとって頼もしい支援軍を得たという感覚でした。 『危険な関係』という作品の前、たしか15年くらい前だったと思いますが東京ドームで… 自分の口からタイトルを言うのが気恥ずかしいですが(笑) …『韓流四天王』というイベントが行われました。 その時の映像を監督がディレクティングしてくださいました。それを含めると本作が3回目の共作となります。 監督からこの『満ち足りた家族』という作品のオファーをいただいた時、シナリオを読んでとても興味深い作品だと感じました。 実は今まではどちらかというと非現実的なキャラクターを演じる機会が多かったんです。 例えば戦場に出ている人物、またある時は殺し屋、ある時はゾンビのようなキャラクターも演じて来ました。 そんな中、今回は非常に現実味のあるキャラクターでした。 そういうところに興味を持ちましたし、シナリオを読んだ時も面白そうだと感じました。 そしてさらには、この作品の演出をホ・ジノ監督が行われると聞いて、これは絶対にいい作品になると思いました。
この発言が終わると通訳さんに「すごく長すぎたね…」と申し訳なさそうに言うチャン・ドンゴン。 そして見事 長文の全通訳を終えた通訳さんに向かってにっこりした表情で「おつかれさまでした!」と日本語で労いの言葉をかけながら頭をさげる姿に、会場は大笑い。 会場中から通訳さんの偉業に大きな拍手が送られた。
本作はヘルマン・コッホの世界的ベストセラー小説が原作であり、欧米でも幾度も映画化されている作品。今回改めて映画化しようと思った理由を尋ねられると
ホ・ジノ監督: おっしゃる通り原作の小説があり、今回で4度目の映像化となる作品です。 以前作られた作品も全て素晴らしい作品でしたので、最初は韓国で映画化することに少しためらいを感じました。 でも何度もシナリオを読み返していくうちに、今まで私が作ってきた作品とは違ったものを映画に込められるのではないかと思いました。 今までの私の作品では男女間の愛情物語、感情のやりとりなどを映画化してきましたが、本作では現在韓国で実際にある社会問題を掘り下げて表現することができるチャンス、自分にとっても一つの挑戦になるのではないかと思い引き受けました。
と経緯を語った。
(※本作は日本では『冷たい晩餐』というタイトルで出版されており、また、イタリア映画版では『われらの子供たち』というタイトル、リチャード・ギア出演のアメリカ映画版では『冷たい晩餐』のタイトルで日本にて上映されている)
原作では時期首相有力候補の兄と、元教師の弟という兄弟設定となっているが、今回の映画では弁護士の兄と医者の弟に改編されている理由は韓国の社会問題に反映させたからなのかを聞かれ
ホ・ジノ監督: 設定を変えたのは韓国のみなさんがより身近に感じられるのではないかと思ったからです。 医師というのは子供たち、学生たちが憧れる職業です。 韓国では幼稚園や小学校から医師コースというのがあるほど、みんなが尊敬し、なりたいと思う職業の代表です。 また、兄の弁護士の設定ですが、同じく韓国では弁護士や検事など、法曹三者は尊敬を集める職業でもあります。 そういった設定をすることでより身近に感じられるのではないかと考えました。
道徳的で善良な医師を演じてみてどうだったかとの質問に
チャン・ドンゴン:このジェギュという役柄に惹かれた理由の1つは、現実にいそうな、現実に足のついた役柄だと思ったからです。 道徳的で原理原則を大切にし、ボランティア活動も熱心におこなうなど、とても良い人。でもそんな人の裏側にも隠れた本性がある… それを映画の中で見せていけるのではないか、より立体的なキャラクターとして演技できるのではないかと考え、このキャラクターを演じてみたいと思いました。 表面的なもののみならず、監督と一緒にいろいろとお話をしながら彼の隠れている本性や弱点といったものを、演技しながら少しずつ出していける、とても楽しい作業でした。
と、役者として魅力を感じるキャラクター、演じ甲斐のある役柄だと伝えた。
最後にこれから作品を観るかたたちへメッセージを求められると
ホ・ジノ監督: 『満ち足りた家族』は来年1月17日、日本にて公開となります。 今日みなさんご覧いただいてこの映画を楽しんでくださったなら、周りのみなさんに是非PRをお願いいたします。
チャン・ドンゴン: 韓国で本作はすでに公開されており、韓国内のいろいろな場所に舞台挨拶に訪れたのですが、ある劇場の壁に「映画の中に答えを出している映画は劇場で観終わったらそこで終わるけれど、映画をもって質問を投げかける作品は映画を観たあとから始まる」という言葉が書かれていました。 おそらく本作も観終わったあと、みなさんにいろいろなことを考えさせるであろうと思います。 どうかみなさんもあれこれ考えを巡らせてください。 本当に意味のあることを考えられる時間になると思います。
と、とても深い言葉を残しジャパンプレミアの舞台挨拶は終了した。
今も変わらぬ メヂカラのある端正な顔立ちとスタイルのよさ、仕草や言葉のひとつひとつに品位を感じる 名優 チャン・ドンゴン。
とても鋭い感覚を持つ反面、穏かで慕われる人徳の持ち主、ホ・ジノ監督。 なお、監督が俳優並みのスタイルの良さを持つことも書き加えておく。
名匠 ホ・ジノ監督、そしてソル・ギョング&チャン・ドンゴンという名優二人とのタッグと聞いただけでも興味をそそられるが、それに加え 作品の深さ、究極の心理描写などあまりにも魅力的な 映画『満ち足りた家族』は2025年1月17日(金)全国ロードショー。
現在、ステッカー付きムビチケカード前売り券(1600円<税込み>)が 好評発売中となっている。
新年の公開が今から待ち切れない!!
text & photo : Chizuru Otsuka
映画『満ち足りた家族』
<ストーリー>
兄ジェワン(ソル・ギョング)は、道徳よりも物質的な利益を優先して生きてきた弁護士だ。仕事のためなら、殺人犯の弁護でさえも厭わない。年下の2人目の妻ジス(クローディア・キム)や10代の娘らと共に豪華マンションに住み、家事は家政婦がこなす誰もがうらやむ暮らしだ。一方、小児科医として働くジェギュ(チャン・ドンゴン)は、どんな時にも道徳的で良心的であることを信念に生きてきた。年長の妻ヨンギョン(キム・ヒエ)と10代の息子と共に住む彼は、老いて痴呆気味になった母の介護にも献身的に当たり、品行方正な日々を送る。
まったく相容れない信念に基づいて生きてきた兄弟。しかし2人は、それぞれの妻を伴って月に1回、高級レストランの個室に集い、ディナーを共にする。レストランではお得意様であるジェワン夫妻が常に優先され、兄弟家族同士の会話はどこかぎこちない。
ディナーが行われた夜、時を同じくある事件が起こり、満ち足りた日々を送る家族が想像だにしなかった衝撃の結末を招き寄せる―。
■監督:ホ・ジノ
■出演:ソル・ギョング、チャン・ドンゴン、キム・ヒエ、クローディア・キム
2024年/韓国/109分/シネスコサイズ/5.1ch/字幕翻訳:福留友子
原題:보통의 가족/英題:A NORMAL FAMILY/PG12
■提供:KDDI
■配給:日活/KDDI
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