
韓国文学史上、前例のない“60代女性の殺し屋”を主人公に据え、ベストセラーとなった小説『破果』(著︓ク・ビョンモ)はニューヨークタイムズによる「注目すべき本100選」に選定されたほか、13ヵ国で翻訳され世界中で広く読まれている。 本作に描かれた斬新で切なく、そして力強い物語は韓国にてミュージカル化され2024年3月初演を迎えた。演出:イ・ジナ(『ジーザス・クライスト・スーパースター』他)、音楽:イ・ナヨン(『Next To Normal』他、台本:チャン・へジョン、イ・ジナら実力派クリエイターが集結して作り上げ、観客の心を揺さぶる傑作として大きな反響を呼んだ。
そして2026年3月7日(土) 待望の日本公演が、新国立劇場・中ホール(東京・渋谷区)にて幕をあけた!
開幕に先駆け、「開幕直前取材」が行われ、ゲネプロの公開および主要キャストからのコメントが伝えられた。
命あるものの温もりに目覚めたとき、彼女の“人生最後の死闘”が幕を開ける――。

主演の女殺し屋「爪角(チョガク)」役を演じるのは花總まり。多数のミュージカルに出演し、多様な人物を演じてきた彼女が、今回初めての殺し屋役で激しい殺陣・アクションに挑戦している。 誰もが経験する“老いていく自分”に気づいた時の落胆、そして寂しさ。 ひたすら走っていた若かった自分から老いた自分への変化を感じた時、今まで見えなかったことや感じなかったことに「爪角」は気づいていく。そして誰かのぬくもりに心のやすらぎを求める。そんな強さと弱さを持った女性「爪角」の心の揺れや決意を花總は見事に表現し、「爪角」の心情をしっかりと伝えてくれた。今回、激しいアクションは初挑戦とのことだが、美しくエレガントながら力強い立ち回りで観る者を惹きつける。
ゲネプロ終演後の取材会では
「ついに明日初日の幕が開きます。結構ハードな公演ですが、明日は2公演、ここからがスタートです。千穐楽まで誰一人欠けることなく健康で安全にお客様に感動をお届けできたらいいなとカンパニー一同願っています。一人でも多くの方に観に来ていただきたいと思っています。よろしくお願いします」
と、いよいよ始まる公演に、全員が心一つになって取り組んでいく強い決意を言葉にした。

かつて自分の家族を殺した「爪角」に復讐を誓うが、心の片隅には美しい「爪角」への想いも抱く、複雑な心境の青年「トウ」役には、同じくミュージカル界の第一線を走り続ける浦井健治。花總と浦井は本作が初めての本格ミュージカルの共演となった。葛藤しながらも「爪角」への強い憎しみを増し、狂気じみた行動に走っていく「トウ」という人物像を圧巻の演技と歌唱力で魅せてくれた。

そんな浦井は終演後の取材会にて
「いよいよ日本での初演の初日を迎えます。花總さんの「爪角」があまりに魅力的で、袖中で見させていただいている時間は幸せの極みです。 芸歴の長い花總さんが今また新しいこと(激しい殺陣やアクション)にチャレンジする、背中に大きな翼がはえ羽ばたく姿を目の当たりにして、我々もしっかりとくらいついて頑張っていきたいと思います」
と語り、先輩や仲間に常に刺激を受けていること、カンパニー内に生まれた絆の強さを感じさせた。

そのほか、同じくミュージカル界で活躍する中山優馬、熊谷彩春、武田真治ら個性豊かな出演者陣が華を添えている。
中山優馬が演じる防疫業者(=プロの暗殺者)エージェンシーの「ユン」は「爪角」に惹かれつつも年老いる「爪角」に対し謀略を企てる、頭脳明晰で冷血な面を持つ男。中山のシャープな演技と力強いまなざしが「ユン」のキャラクターをわかりやすく感じさせてくれる。

若い頃の「爪角」を演じる熊谷彩春は、道から外れた人生を歩むことになった「爪角」の苦悩や悲しみをしっかりとした演技と伸びやかな歌声で心に届けてくれた。

「爪角」が若い頃に想い慕った「リュウ」 と、「爪角」が大人になったのちに出会った 医師の「カン博士」の二役を演じるのは武田真治。TVのバラエティーなどで見せる姿、アーティストとしての姿、そしてミュージカルでの歌や演技。さらに今回は二役をこなす。武田真治は本当に器用な人だと痛感する。

中山、熊谷、武田の三名からはテキストにてコメントが届けられた。

「ユン」役:中山優馬
「日本初演ということで、とても貴重な作品だと思います。僕自身はミュージカル経験がそこまで多くないのですが、キャストみなさんの歌、音楽、演奏を聞いているのがとにかく気持ちよくて、感動します。 音楽のパワーや舞台装置、衣装など、五感全てで楽しめる作品になっていると思うので、みなさんをしっかりワクワクさせたいと思います」
若い頃の「爪角」役:熊谷彩春
「いよいよ、初日の幕が上がります。 カンパニー全員で支え合い、試行錯誤を繰り返しながら今日まで辿り着きました。 全く新しいスタイルのミュージカルだと感じています。 日本初演の本作が皆様の心にどう届くのか、今は緊張と期待が入り混じっています。 お楽しみいただけるよう全力を尽くして、劇場でお待ちしています!」

リュウ / カン博士(二役):武田真治
「とんでもないものが出来上がりました。これで花總さんが演劇界のショーレースに入らなきゃ嘘だと思います。みなさまには全く新しい物語を体験していただけると思います。 60 代の女性が主人公のハードボイルドアクションミュージカル。新しいダークヒーローの誕生に立ち会えて光栄です。劇場でお待ちしています」

本作のタイトル「破果(パグァ)」とは、「爪角」が自分の人生が決して熟すことなく壊れて傷ついていった果物「破果」と感じていることを表している。そんな「爪角」と「トウ」の因縁の対峙の結果はいかに・・・・。 是非劇場で確認してほしい。
text & photo : Chizuru Otsuka

STORY
人生のほとんどをプロの暗殺者として生きてきた爪角(チョガク)。超一流の暗殺者であった彼女も年を重ね、身体の衰えから引退を決意する。今まで守るべきモノを作らず独りで生きてきたが、捨てられていた老犬や心を開いて接してくる近所の家族など気がつけば守りたいモノができていた。喜怒哀楽とは無縁の孤独な人生を送るつもりが、他人の痛みを感じるようになりいつしか心にぬくもりを求めるようになっていく…
そんな中、過去の記憶から突如現れた、爪角に復讐を誓った者が現れ、心を許した近所の子供を連れ去った…
人生で初めて誰かのために戦うことを決意した彼女に待ち受けるものとは?!
原作「破果」
ク・ビョンモ 著 小山内園子 訳 出版社:岩波書店
改訂版が2018年に刊行
第15回翻訳ミステリー大賞受賞(2024年)
台湾、イタリア、フランス、アメリカ、ドイツ、ポーランド、日本などで翻訳刊行。2013年に初版が出版され13ヶ国に版権販売。 ニューヨークタイムズによる「注目すべき本100選」に選定、全世界で読まれるロングセラーとなっている。また、「破果」を原作とした映画「破果」は、ベルリン国際映画祭をはじめとする世界有数の映画祭に招待された。
ミュージカル『破果(パグァ)』
<公演日程>
東京公演 2026/3/7~22 @新国立劇場 中劇場
大阪公演 2026/3/27~29 @梅田芸術劇場メインホール
福岡公演 2026/4/4~5 @久留⽶シティプラザ ザ・グランドホール
<キャスト>
花總まり 浦井健治
中山優馬 熊谷彩春
秋野祐香 大泰司桃子 東倫太朗
新井海人 今村心音 コイタ奈央美 下道純一 志村倫生
中西彩加 *蛭薙ありさ 矢澤梨央 *若林佑太 渡部又吁 (五十音順*スウィング)
武田真治
主催:ミュージカル『破果』製作委員会
Original work Gu Byeong-mo‘s novel “HAKA 破果” Script & Lyrics by Hyejeong Jang, Gina Lee Music by Nayoung Lee Original Production by PAGE1
★ご観劇前にご一読を (観劇ガイダンスや当日券について、開場時間 についてなど)
http://musical-pagwa.jp/guidance.html
◆公式HP https://musical-pagwa.jp