【韓ペンオリジナルレポ】~ミュージカル『燃ゆる暗闇にて』~10月13日(日)まで上演中!ゲネプロ&取材会を詳しくレポ!

スペインの巨匠と言われる劇作家“アントニオ・ブエロ・バリェホ”の傑作『燃ゆる暗闇にて』は昨年、韓国ミュージカル界における 名コンビ、演出のソン・ジョンワンと作曲・音楽監督のキム・ウニョンにより新作ミュージカルとして生まれ変わり、この度 満を持して日本版が 2024年10月5日(土)~13日(日) サンシャイン劇場(東京)にて上演されることになった。

初日前日の10月4日(金) には 一足早く「ゲネプロ公開」および「開幕直前取材」が行われた。

全盲の生徒たちが学ぶドン・パブロ盲学校は、「幸せとは諦め、望まないこと」という思想を軸に「自分たちの持つ障害を忘れるほど、安全で自由な学校」という教育理念のもと、生徒を指導している。

「全盲を悲観するのではなく、その中で一番楽しく過ごす」という学園の思想通り、生活するのに安全な学び舎を与えられた生徒たちは、一見健常者と全く変わらぬ 楽しい学園生活を送っている。

そんな平和な学園生活が、ある日を境にガラガラと崩れていく….。

同じく全盲の転校生・イグナシオ(佐倉宏紀 / 坪倉康晴)はこの学園の思想とは正反対の生活を送って来た。 長い間 生きづらさを実感しながら生きて来たイグナシオは、盲学校で明るく過ごして来た生徒たちに悲観的な考えをぶつける。今までは与えられた安全な環境の中で不満も不安も抱かず生きて来た生徒たちにとって、自分たちが生きて来た世界を「虚しい幻想、ウソの楽しさ」だと言い放つイグナシオの言葉に衝撃を受ける。 学園の人気者 カルロス(渡辺碧斗)とホアナ(熊谷彩春)のカップルをはじめ、生徒たちはみな動揺する。

そんな中、 ホアナは一番にイグナシオの気持ちを受け入れ、なんとかみんなの気持ちが1つになれるように考えようとする。 反対にずっと学園理念を信じて来たカルロスはイグナシオの思想に危機感を感じ対立していく。しかし、生徒が一人、また一人….と、どんどんイグナシオの思想に染まっていく….。 この二つの思想の対立の行方は果たしてどのような結末を迎えるのか….

佐奈宏紀

キャストたちは全盲の学生という難しい役どころを演じているが、視線の方向、歩き方など細かいところまで表現していた。 劇中で歌われる楽曲の中には 難易度の高い音階の変化や音符並びもあったが、キャストたちはしっかりと歌いきっていた。 キャスト全員とても声量があり、滑舌のよいセリフ回しとハリのある伸びやかな歌声で、その時その時の心情を1つ1つ 丁寧 且つ 熱く伝えていた。

渡辺碧斗

そんな学生たちを取り仕切る 盲学校の創設者の妻であり講師の ドニャ・ペピータを演じる、元 宝塚歌劇団雪組男役トップスター・壮一帆が さらに各場面へスパイスをきかせる。 壮一帆が登場すると、佇まいからすでに美しく気品溢れた空気が流れる。そして流石としか言いようがないほど場面が引き締まる。

佐奈宏紀 : 壮一帆

この作品は人生で一番キラキラ輝く青春時代の 陽の部分と、悩み、葛藤する陰の部分を見せてくれる。全盲ゆえに今まで見ることなく過ごせて来た物事や現実を、転校生によって突然突き付けられた時の戸惑い、一気に押し寄せる不安感、今まで迷うことなく信頼して来たものを見失いかけた時の焦燥….。

生徒たち一人ひとりがなんとか明るい出口を見つけようと必死な様を若いキャストたちは体当たりの演技で観る側の心に強く訴えかけてくる。

コゴン

今回 日本人キャストの中、唯一の韓国人キャストとしてPLAYBACK7 project のコゴンが参加し、全盲学校の生徒・ミゲリンを演じている。歌の上手さでは定評のあるコゴンは歌唱面でも大切な役割をしっかりと果たしていた。 学園の中心人物カルロスと親しいながらも、転校生イグナシオにどんどん感化されていってしまうミゲリンを豊かな表現力で見事に演じている。セリフの量もかなり多いが、日本人キャストと変わらぬ綺麗なセリフや細かい表情でミゲリンの考えや心の変化を伝えてくれている。

健常者より感覚が鋭く研ぎ澄まされている視聴覚不自由者たちではあるが、まだまだ街の中で生活するには不自由さや不安に感じることが多いだろう。 この作品は生きていく中でもう一度、新たな視線で物事を考慮する必要性を私たちに感じさせてくれた。そんな様々なことを考える機会を与え、ゲネプロは終了した。


ゲネプロが終了したあとには「開幕直前取材」が行われた。公開になったゲネプロに出演したキャスト全員と、イグナシオをWキャストで演じる坪倉康晴も参加した。

後列左から 日高麻鈴➡菅原りこ➡高槻かなこ➡コゴン➡雨宮翔➡松村優:前列左から壮一帆➡坪倉康晴➡渡辺碧斗➡佐奈宏紀➡熊谷彩春

楽しそうに会話を弾ませながら取材会場に入ってきたキャストたちは、和気あいあい。とてもいい雰囲気の中、まずはフォトセッション、続いて 一人ずつ意気込みやメッセージを伝えた。

渡辺碧斗「カルロス役の渡辺碧斗です。今回の舞台は先生役の壮さんに見守っていただきながら、僕たち同年代のメンバーが稽古場から作り上げて来て、僕自身すごく支えられた部分もあります。稽古場でやって来たことをそのまま精一杯出せればいいなと思います」

佐奈宏紀 「イグナシオ役の佐奈宏紀です。一筋縄ではいかない脚本にキャスト全員、一丸となって立ち向かって作り上げて来ました。たくさん伝えたいことがありますが、なかなか一言ではまとめられない作品だと思うので、是非劇場で観て、感じて、何か持ち帰ってもらえたらと思います。とにかく魂や苦しみや、何から何まで燃やして千穐楽まで突っ走っていきたいと思いますので応援よろしくお願いします」

(佐奈宏紀の言葉が終わると、思わず拍手するコゴンに周りは大笑い。すかさず先に話した渡辺碧斗が「俺の時には無かったぞ」ツッコミを入れ、さらに大笑いとなった)

坪倉康晴「イグナシオ役(※Wキャスト)の坪倉康晴です。稽古場からここまで一丸となって作って来て、僕自身Wキャストは初めてで、今回 佐奈ちゃんとイグナシオをWキャストでやらせていただきます。 違ったイグナシオが2パターン観られると思うので、作品全体の流れがまた違った風景で観れるのかなと思っております。是非二人のイグナシオを観ていただければと思います。最後まで頑張ります。よろしくお願いします」

熊谷彩春「ホアナ役の熊谷彩春です。壮さんをはじめ素敵なキャストのみなさんと一緒に一丸となってつくり上げて来たこの作品、同年代の方々がすごく多くて、稽古後も『放課後』なんて言いながらみんなで残っては練習に励んだりした一か月だったので、そこで頑張ったものを是非観ていただけたらと思います。毎回毎回、一瞬一瞬、全く違う化学反応が起こるので、自分自身ドキドキを忘れないでずっと千穐楽まで駆け抜けられたら嬉しいです」

壮一帆「ドニャ・ペピータ役の壮一帆です。今回私ひとり年上で、みんなを見守る先生役です。顔合わせの時から今日まで毎日毎日みんなの上がっていくボルテージや技術、そして何より作品にかける思いがとても前向きで、私自身、年下のみんなに背中を押してもらうことが大変多かった稽古場でした。この勢いのまま千穐楽までみんなをちゃんと愛して、いい学校の先生でありたいと思っています」

コゴン「ミゲリン役のコゴンと申します。他のキャストの皆さんと頑張って準備しました。明日から本番、とても緊張していますよ!!(笑) でも自分が演じているミゲリンと他の友だちとのケミとか、色んな姿を見せる機会になると思いますので是非! 劇場でお待ちしております。楽しみにしてください!」

(コゴンが話し終わると先ほどの拍手へのお返しとばかりに佐奈が大きな拍手。すると他のキャストも一緒に大きな拍手をコゴンに贈った。コゴンはこのカンパニーのムードメーカーであり、愛されキャラなことがとてもよく伝わって来た)

高槻かなこ 「エリサ役の高槻かなこです。私自身、初めてのミュージカルの挑戦になります。 少し難しい楽曲もあったりしますが、みんなで一生懸命練習して取り組んで来ました。私たちは目が見えない生徒の役で、舞台上で、私たちも音を聞きながら耳を立てながら演じているので、観に来て下さるみなさまに私たちの姿を目と耳に焼き付けてほしいと思っています。楽しみにしていてください」

雨宮翔 「アンドレス役の雨宮翔です。初日から千穐楽まで心を燃やして頑張りたいと思います。大変なこともありましたが、あがきながらここまで作って来ました。楽しみにしていただけたら嬉しいです」

松村優 「アルベルト役の松村優です。この作品は繊細で難しい部分もたくさんあるんですが、みんなでコミュニケーションをとりながら、いっぱい話し合いながら作って来た作品です。一人ひとりの個性だったり、自分が思う正義だったりが、どの人物もすごくハッキリしていると思います。 誰目線から見てもまた違った感覚で楽しめる作品だと思うので、色んな人の視点でこの作品を楽しんでいただけたらすごく面白く観てもらえるのではないかと思います。是非よろしくお願いします」

菅原りこ 「ロリータ役を演じさせていただく菅原りこです。とても頭を使う作品で、私は頭が柔らかくないというか硬いほうなので、ちょっと難しかったんですが(笑) みなさんとチカラを合わせたら、(内容理解するのが本番までに)間に合ったので(笑) エスペランサ役の麻鈴ちゃんとも一緒にチカラを合わせたくさんお話させていただきながら頑張ってまいります!」

日髙麻鈴 「エスペランサ役の日髙麻鈴です。 今回このカンパニーの中で最年少になるんですが、台本をいただき楽曲を聴き、ものすごく難易度の高いエネルギーのある物語だと思いすごくプレッシャーを感じていたんですが、本読みから約1ケ月間、みなさんと稽古場で稽古をさせていただく中でみなさん本当に個性豊かで優しくて、本当に温かくて。その優しさに支えられながら私も稽古に全力100%で挑むことができたと思っています。約1週間の短い公演期間ではありますが、全力でこの物語をみなさんに届けられたらいいなと思っています。最後までよろしくお願いします」

キャスト全員のコメントが終わり、取材会に参加した記者から「Wキャストで演じるイグナシオですが佐奈イグナシオと 坪倉イグナシオの違いを周りのキャストのみなさんはどのように感じていますか?」との質問が飛ぶと、高槻かなこから「私は、坪倉イグナシオはセクシーだと思います(笑) 佐奈イグナシオはワイルド!」という印象、渡辺碧斗からは「稽古場でのイメージですが、坪倉イグナシオは<柔>、佐奈イグナシオは<剛>だと思います」と印象を語った。

先生役 壮一帆は この作品で是非観て欲しい部分をたずねられ、

「今回の舞台は盲学校が舞台という特色があります。この作品に携わることになり、改めて目の見えない方たち、耳の聞こえない方たちのことを考える機会になりました。 実際に調べたり、教えていただいたりしながら障害を持っていらっしゃる方たちがどういうところに不安を感じるのかということを、普段ならば触れないままで過ごしていたことを学ぶ機会になりました。観に来てくださったお客様にも今一度、世の中に決して少なくはない数の聴覚障害の方々、視覚障害の方々に対し思いをはせる機会になったら嬉しいなと思いながら、この作品に携わらせていただいております。 今回観に来て下さる方たちにサポートの公演もあります。稽古場で実際手話をなさっている方を見た時に、心の底から『なんて美しい所作なんだろう』と感動したんです。演者と同じように表情も豊かだし、手先だけでなくからだ全体で表現されている姿を見てとても美しいと思ったんです。もしそのサポート公演の日に観に来られる方たちには少し、手話の方にも目を向けていただけたらこの作品を倍楽しめるのではないかと思いますのでそのあたりもよろしくお願いいたします」

と、通常公演に加え、障害のある方たちも一緒に楽しめる公演があることを温かい言葉で知らせた。

最後に 学園のリーダー・カルロスを演じる渡辺碧斗からのメッセージで直前取材会を締めくくった。

渡辺碧斗「今回の舞台は盲学校が舞台になっているんですが、扱っているテーマは生きている人たち全員に当てはまると思っています。観て下さる方が感じることはそれぞれだと思いますが、僕個人的には 自分の幸せを見つめなおすきっかけになったり、自分の幸せの方向性を決める時に何かよぎる作品、何かの選択の時にこの作品のことが頭をよぎっていただけるような作品になればと思っています。 スタッフ一同、誠心誠意 最後まで走りぬけていきますので応援のほどよろしくお願いいたします」

text & photo : Chizuru Otsuka

ミュージカル『燃ゆる暗闇にて』

公式X (@moyuru_kurayami)https://x.com/moyuru_kurayami

公式HP https://musical-moyuru-kurayami.jp/

出演

渡辺碧斗  カルロス

佐奈宏紀  イグナシオ(Wキャスト)

坪倉康晴  イグナシオ

熊谷彩春  ホアナ

コゴン  ミゲリン

高槻かなこ  エリサ

雨宮翔(GENIC)   アンドレス

松村優  アルベルト

菅原りこ  ロリータ

日髙麻鈴  エスペランサ

壮一帆 ドニャ・ペピータ

会場

サンシャイン劇場
(〒170-8630 東京都豊島区東池袋3丁目1-4 文化会館ビル 4F サンシャインシティ)

日程

2024年10月5日(土)-10月13日(日) 全11公演

※ 開場時間:開演30分前
※ 未就学児入場不可
※ イグナシオ Wキャスト:♪:佐奈宏紀 ♭:坪倉康晴

※ ✩・・初日SPカーテンコール
     開幕を記念し、キャストよりご挨拶&撮影タイムあり
     (スマホでの写真撮影のみとなります。一眼レフや動画での撮影は禁止となります)

※ ★・・楽日SPカーテンコール
     閉幕を記念し、キャストよりご挨拶

※ ○・・アフタートーク

10月8日(火) 18:30 佐奈宏紀 熊谷彩春 コゴン 高槻かなこ
10月10日(木) 13:00 渡辺碧斗 坪倉康晴 壮一帆 雨宮翔(GENIC)
10月10日(木) 18:30 渡辺碧斗 坪倉康晴 コゴン 松村優
10月11日(金) 18:30 佐奈宏紀 雨宮翔(GENIC) 菅原りこ 日髙麻鈴

※ △・・お見送り会

終演後、キャスト全員が舞台上からお客様をお見送りいたします。
 10月8日(火)13:00
 10月9日(水)13:00

<注意事項>
・終演後、スタッフが順番にご案内しますので、ご参加の方はそのままお席にてお待ちください。
・やむを得ずスタッフがお客様の肩や腕などに触って誘導する場合がございます。予めご了承ください。
・お見送り会では立ち止まらず、スムーズにご退場ください。キャストへの接触行為、プレゼントを渡すなど列の流れを止める行為は禁止となります。
・お荷物は鞄の中にしまい、両手を空けた状態でご参加ください。
・参加キャストは変更になる場合がございます。予めご了承ください。

※ □・・聴覚障害の方へのサポート対象公演
     10月8日(火)12:30開場/13:00開演
     10月9日(水)12:30開場/13:00開演

※ ■・・視覚障害の方へのサポート対象公演
     10月10日(木)12:30開場/13:00開演(舞台説明会12:40~開始)
     10月11日(金)18:00開場/18:30開演(舞台説明会18:10~開始)

チケット料金

S席:11,000円(税込)
A席:9,000円(税込)
U-18チケット:6,000円(税込)

※ご購入後の返金・クレーム及びお席の振替は一切お受けできません。予めご了承ください。
※本公演のチケットは「チケット不正転売禁止法」の対象となる「特定興行入場券」として販売いたします。主催者の同意のない有償譲渡は禁止されています。
※U-18チケットはご観劇当日の満年齢が18歳以下のお客様を対象としたチケットです。
ご観劇当日年齢が分かる身分証明書を必ずご持参ください。
「当日引換券」窓口での年齢確認後に座席指定券をお渡しいたします。お座席はお選びいただけません。

当日券について

・各回開場時間より、会場の当日券受付窓口にて先着順で販売いたします。
・なお、ご精算は現金またはキャッシュレス決済(クレジットカード、電子マネー決済、QRコード決済)をご利用いただけます。

<取扱席種>
全席指定・税込

・ S席       11,000円
・ 前方サイドシート 11,000円
・ 注釈付指定    11,000円
・ A席        9,000円
・ U-18チケット   6,000円

<注意事項>

・ 未就学児入場不可。
・ 予定枚数に達し次第、受付終了となります。
・ お座席はお選びいただけません。
・ お連れ様と連番でおとりできない場合もございます。
・ 注釈付指定は一部ステージ及び演出・出演者が常に見えづらい、または見えない可能性がございます。予めご了承ください。
・ U-18チケットはご観劇当日の満年齢が18歳以下のお客様を対象としたチケットです。ご購入時に年齢明記の顔写真つき身分証明書が必要です。
・ チケットのお求め前にチケットに関する注意事項や公演に関するご案内をご確認ください。


In The Burning Darkness
Original Script by Antonio Buero Vallejo
Book & Lyrics by Sung Jong Wan
Music by Kim Eun Young

演出:田中麻衣子
音楽監督:落合崇史

翻訳:吉田衣里
上演台本・訳詞:オノマリコ

アシスタントプロデューサー:池永聡子
プロデューサー:石橋千尋

企画協力:conSept
主催・企画・製作:エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ


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