
現代の韓国社会を舞台に、⽣まれ育った場所で⽣きづらさを感じる⼥性が⼈⽣を模索する姿を描いた、
3⽉7⽇(⾦)公開『ケナは韓国が嫌いで』。
第28回釜⼭国際映画祭オープニング作品として話題を呼んだ本作は、⼩説「82年⽣まれ、キム・ジヨン」と同じ出版社から刊⾏されたベストセラー⼩説「韓国が嫌いで」を原作に、韓国の若者が直⾯する現実を映し出す。監督は、「第⼆のホン・サンス」「韓国の是枝裕和」と称され、映画『ひと夏のファンタジア』で知られるチャン・ゴンジェ。2015年に原作を読んだ監督⾃らが映画化を熱望し、9年の歳⽉をかけて本作を完成させた。
公開を来週に控え、聞き⼿に映画ライターの⽉永理絵さんを迎え、韓国にいるチャン・ゴンジェ監督とオンラインをつないでのトーク付き試写会が2⽉26⽇(⽔)アキバシアターで⾏われた。

本作は、地獄のような⻑時間通勤、恋⼈との不透明な未来、仲が良いけれど息が詰まるような家族との⽇々のなかで、“ここでは幸せになれないと”感じた28歳の主⼈公ケナ(コ・アソン)が、新しい⼈⽣を始めるため、すべてを⼿放し、ニュージーランドへ旅⽴つ物語。
映画上映終了後、スクリーンに映し出されたチャン監督は「今⽇はお越しくださりありがとうございます。映画の成り⽴ちを話したいと思います」と挨拶。
⽉永さんから「⼩説のどういうところに惹かれて映画化を決めたのでしょうか?」と尋ねられると「⾃分はケナとは年齢、世代など置かれた状況は異なるが、韓国社会での⽣きづらさを同じように思っている⼈がいると感じたのが第⼀印象でした。韓国では⼩学校から⼤学卒業、就職、結婚、⼦供を持つか持たないか。すべて激しく競争させられる。それらは簡単にみえますが違います。⾃分はもっと違う夢物語を描きたかった」と思いを吐露。

⼩説ではケナはオーストラリアに向かうが、映画ではニュージーランドに変更した違いに関しては「プロデューサーに勧められてニュージーランドを訪れたのですが、韓国の反対の位置にあり物理的にとても遠い分、より事情を抱えている(韓国)⼈が多かった印象を持ちました。ケナが求めた南の国でもありますし(笑)」と語った。

続いて⽉永さんから「監督の過去作品を拝⾒しても俳優たちがとてもリアルで⾃然な会話を交わすことにいつも感動していてドキッとするセリフが出てくるのが監督らしさだと思っています。会話場⾯はどのように作られ、俳優にはどのように演出しているのでしょう?」という質問に対しては、「会話のシーンにある程度時間をかけることで、その⼈物の⼼情が描けると考えています。この映画は⾷事をしながら話すシーンが多いですが、そこにもキャラクターの⼼情がわかるように⼼がけて撮影しました。また役者への演出では、カット後に“演技しながらどのような気持ち、気分でいたか”をよく聞きます。その時に⾃分が感じた気持ちと⼀致している時にOKを出すようにして
います」と明かした。

付随してケナがニュージーランドでかけがえのない友⼈となるジェインに「幸せ?」と聞いて笑い合うシーンについては、「⼤抵の作品では海外で出会った男⼥は恋⼈同⼠になりますが、私はそうしたくなかった。ふたりをよき友達として⽀え合う存在にしたかった。そんなふたりのなにげないニュアンスを表したシーンです。⼀⾒なんでもないシーンに注⽬してくださって、ありがとうございます」と感激していた。
また⼩説とは異なるラストには「僕は基本的に決めずに動く⼈が好きなので、ケナにもいつも新しい可能性を求める⼈にしたかった」とのこと。
本作の公開にあわせて、劇場初公開作を含む過去4作の特集上映「映画監督チャン・ゴンジェ 時の記憶と物語の狭間で」も決まり、来⽇も決定しているチャン・ゴンジェ監督。
最後に「よい機会がありまして、『ケナは韓国が嫌いで』だけでなく僕の過去の作品も⽇本のみなさんに観ていただけることになりました。ご興味お持ちいただけましたらぜひチェックしてみてください。お気をつけてお帰りください」と平⽇の夜にも関わらず多くの⽅に集まっていただいた感謝を述べた。
チャン・ゴンジェ監督の来⽇決定
チャン監督は、公開初⽇3⽉7⽇(⾦)に来⽇し、東京、⼤阪、京都の全5館の舞台挨拶に登壇予定。
【チャン・ゴンジェ監督来⽇情報】
① ⽇程:3⽉7⽇(⾦)18:00の回上映後
会場:ヒューマントラストシネマ有楽町(千代⽥区有楽町 2-7-1 有楽町イトシア・イトシアプラザ 4F)
② ⽇程:3⽉8⽇(⼟)12:30の回上映後
会場:シネ・リーブル池袋(東京都豊島区⻄池袋 1-11-1 ルミネ池袋 8F)
③ ⽇程:3⽉8⽇(⼟)14:50の回上映後
会場:新宿武蔵野館(新宿区新宿3-27-10 武蔵野ビル3F)
④ ⽇程:3⽉9⽇(⽇)13:00の回上映後
会場:テアトル梅⽥(⼤阪市北区⼤淀中 1-1-88 梅⽥スカイビルタワーイースト 3・4F)
⑤ ⽇程:3⽉9⽇(⽇)15:50の回上映後
会場:京都シネマ(京都市下京区烏丸四条下ル⽔銀屋町620 四条烏丸下る⻄側 COCON烏丸3階)
【STORY】
ソウル郊外で両親と妹と共に暮らす28歳のケナ(コ・アソン)。⼤学を卒業後、⾦融会社に就職し、毎⽇⽚道2時間かけてソウル市内の会社に通勤している。⼤学時代から⻑く付き合っている恋⼈のジミョン(キム・ウギョム)は、外国に⾏きたいと⾔うケナに反対し、「⾃分が就職したら⽀える」と伝えるが、そんなジミョンにケナは苛⽴ちを隠せない。
だが、ケナの⺟は、裕福な家庭で育ったジミョンとの結婚を待ち望んでいた。⼀⽅、ケナが家族と暮らす⼩さな団地は⽼朽化が進み、再開発が予定されていたが、⺟は転居先の家の購⼊費⽤もケナに頼ろうとしていた。
ソウルの寒すぎる冬、地獄のような通勤、恋⼈との不透明な未来、仲は良いけれど古い価値観を持つ家族との⽇々ーー。ここでは幸せになれないと思ったケナは、ニュージーランドへの移住を決意する。
監督・脚本:チャン・ゴンジェ『ひと夏のファンタジア』
出演:コ・アソン『グエムル-漢江の怪物-』 チュ・ジョンヒョク「ウ・ヨンウ弁護⼠は天才肌」
キム・ウギョム イ・サンヒ オ・ミンエ パク・スンヒョン
2024 年/韓国/韓国語・英語/107分/カラー/原題:한국이 싫어서/⽇本語字幕:本⽥恵⼦
配給|アニモプロデュース
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