【韓ペンオリジナルインタビュー】~映画『Riceboy ライスボーイ』アンソニー・シム監督~ カナダを舞台に韓国から移住した親子の心の変化を16ミリフィルムでどのように描きたかったのか… 公開初日4/3から3日間 舞台挨拶登壇決定!

アンソニー・シム監督最新作、韓国から カナダへと移住した母と息子の絆を 16mm フィルムで描いた感動作『Riceboy ライスボーイ』が2026年4月3日(金)より全国順次公開される。

自身も8歳で韓国からカナダに移住した経験を持つアンソニー・シムが監督・脚本を手掛け、1990年代のカナダを舞台に、移民としてのアイデンティティの揺らぎや親子の葛藤と再生を、16ミリフィルムの柔らかな質感と共に繊細に描いた。

トロント国際映画祭のプラットフォーム・コンペティション部門で最優秀賞を受賞し、釜山国際映画祭の観客賞やカナダ・アカデミー賞の最優秀脚本賞など世界中の映画で31の賞を受賞、20以上の部門でノミネートされ話題となった。個人の記憶に根ざしながらも、誰もが共感できる痛みと、その先に差す光をすくいとった、静かな中に大きなエネルギーを感じる珠玉の作品となっている。

そんな大きな感動を与えてくれる作品のメガフォンをとったアンソニー・シム監督が韓ペンのオンラインインタビューに応じてくれた。ゆっくりと流れていく時間の中、母と息子に起こる様々な出来事に勇敢に立ち向かい自分を取り戻していく姿を、監督はどのように描きたかったのか・・・・


【アンソニー・シム監督 インタビュー】

© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.

◆とにかく惹きつけられる作品でした。 カナダで、韓国から来たソヨンとドンヒョンに起こるいろいろなことや、二人に投げかけられる言葉は、同じアジア人として理解でき共感できました。 韓国からカナダに移住なさった監督ご自身の経験も作品に影響しているのではないかと思うのですが、ご自身の経験を感じさせる映画をあえて撮ろうと思いついたのは いつ頃、どのようなきっかけですか?

私はカナダで映画監督より先に俳優としてスタートしました。でも当時、私が俳優として演じることができる役柄はあまり多くありませんでした。私に与えられる役は、中国人の役とか日本人の役、または特定のバックグラウンドが指定されていない無国籍なキャラクターだったりで、韓国系の役柄を演じられる機会はとても少なかったです。そのことを今回の映画のプロデューサーを務めてくれた昔からの友人にぼやいたところ、「それなら自分で見たいものを自分で作ればいいじゃないか」と言われて、確かにその通りだし面白そうだと思ったのがきっかけです。韓国系の移民や、カナダに住む韓国系移民たちが日々感じる葛藤、チャレンジ、経験だったら、私自身がこの目で見てきたものなのですごくリアルに描けるし、本格的な作品が作れるのではないかと思いました。そのような「作ってみたい」という気持ちでやり始めたものの、資金集めやキャスティングはすごく大変で、『Riceboy ライスボーイ』を完成させるまでとても苦労しました。でもそのあとで『ミナリ』(リー・アイザック・チョン監督作品)が公開され、今では韓国系の移民を描いた作品がいくつか出てきていますが、私が脚本を書いていた段階では、そのような作品は本当に少なかったです。でも道が開けたという点ですごくいいことだと思っています。

◆撮影開始までの準備期間と撮影期間は、それぞれどのぐらいかかったのでしょう?

私が最初に脚本を書き始めたのが2019年の12月でした。でもその直後、COVID-19(新型コロナウィルス)の蔓延により世界がロックダウン状態となり、さまざまな活動ができなくなりました。でも、そのためにできた十分な時間を使って脚本執筆に集中することができ、数ヶ月で仕上げることができました。脚本が完成してから1年半ぐらい経った2021年の夏、ようやく撮影を開始することができました。その間も COVID-19のワクチンを待つなど結構準備期間を要し、全てが仕上がるにはトータルで3年ほどかかってしまいました。撮影自体はカナダで 15日間、韓国で 4日間と非常に短い期間で仕上げました。予算的なこともあり短期間で撮影しなければいけなかったという事情もありましたが、今回は16ミリフィルムを使用したので、かなり短期間で集中して撮影しました。

◆韓国からはじまり、カナダ、そして再び韓国と舞台が変わるたびに、画面のアスペクト比が変わりました。 特にカナダから韓国へついた時、一気に視野が広がり、そこに見える水平線と太陽がソヨンとドンヒョンの心の変化を表しているのかなと感じました。また、空から撮影したカットでは、カナダは家の屋根がたくさん並んでいましたが、韓国では山、森林、畑とまったく異なる世界のように描かれています。あのアスペクト比の変化や景色の変化で、監督はどのようなことを表現しようと思ったのでしょうか?

感じていただいただいた通り、あのアスペクト比の変化は、ソヨンとドンヒョンの内面の変化を表しています。二人が韓国に戻ると景色が自然豊かで開けていますよね。 ソヨンとドンヒョンが移民として暮らしているカナダではちょっと狭い家に暮らし、狭い職場で仕事をしていて、自然を楽しみながら心豊かに生活することができていません。でも二人が韓国に戻った画面のアスペクト比が変わったところで、母子は一気に世界の美しさに気づかされ、深呼吸できるような気分になるのですが、この映画をご覧になる皆さんにもそんな気分に是非なっていただけたらと思っています。カナダと韓国のシーンはなるべくはっきりとした変化、コントラストをつけたいと考え、カナダのシーンではアスペクト比以外にも撮り方でも手狭に見えるようになどいろいろ工夫しました。

◆韓国の映画は「カット割り」がとても多いと感じることがよくありますが、この作品では目まぐるしく変わるカット割りがほとんどなく、それがこの作品にとても合っていて、作品の世界に浸ることができました。 そのようなこともかなり意識なさったのでしょうか?

おっしゃる通りで、かなりその辺を意識して撮影を行いました。撮影するにあたり、この映画は亡くなったドンヒョンの父親、つまりソヨンのパートナーの視点で描いていこうと、撮影監督と私で決めていました。
もし自分が亡くなって家族を見守るとしたらどのような視点になるだろうか…を考え、カメラのレンズ、明かり、編集などすべてその考え方に基づいて行いました。カット割りが多いと映画をご覧になっている方の感情もそこで切られてしまいますが、登場人物たちにリアルタイムで寄り添って感情移入していただきたくて、あえて細かいカット割りはせずにちょっと長回しで登場人物に寄り添うような撮り方を行いました。長回しでの撮影は侯 孝賢(ホウ・シャオシェン)監督や小津安二郎監督の作品などから、細かい編集やカメラを大胆に動かしたりせず構図としてカメラのフレームに登場人物を捉えて撮っていくというスタイルを参考にさせていただきました。

© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.

◆大人になってからカナダに渡った母・ソヨンと、幼い時にカナダに渡った息子・ドンヒョンでは、親子なのに最も得意とする言語、慣習が異なっているところが、とてもわかりやすく描かれていました。親子の会話もソヨンが韓国語で話しかけ、ドンヒョンが英語で返しているところもあり、リアリティを感じました。 また、サイモンが家に訪れた時、もしかしたらアドリブかもしれませんが、「So 배고파요(ペゴパヨ=おなかすいた)」と英語と韓国語をMIXして話していたのもとても面白く、個性を感じました。

別の国に行って、その文化にフィットしようすると、いろいろミックスされることはすごくよくあることだと思います。言語だけではなく、食文化、ファッション、パーソナリティなどいろいろな国の要素がミックスされていくものなのだと思います。この映画では韓国とカナダのパーソナリティ、韓国系カナダ人というところを描きたかったので、そのようなセリフになっています。私と妹の2人の会話はまさにそのような感じで、他の人にはまったく理解できないかもしれない独自の言葉、ミックスされた言語で話しています(笑) あの「So 배고파요」は、まさに私が家族と話しているような言葉です。たしかに台本にはなかった気がするので、アドリブで言っていたのだと思います(笑)

◆ドンヒョンのお弁当の中身の変化、ソヨンが英単語をわからず辞書をひく姿、韓国ではドンヒョンが叔父さんに韓国語や食事のマナーを教わるところからも、その場に合わせることが一番スムーズに生きる術なのかとも感じたのですが、監督は「自分らしさ」についてどのような考えを持っていますか?

外国においてとか今いる場に合わせて生きるには、まわりとの協調は自分の居場所を見つけるためにもとても大事なことだと思います。それと同時に自分のバックグラウンドや自分らしさは常に大切にすべきだとも思っています。例えばアメリカは移民大国ですが、アメリカに来た大抵の人たちは、アメリカ式スタイルでアメリカ人らしく生活します。でもカナダという国は少し違って、どちらかというとそれぞれの文化や多様性が美しいモザイクのように組み合わされていて、それぞれの文化を大事にしているという特徴があります。もちろん自分が今いる場所に自分を合わせて同化していくことは基盤として大事だと思いますが、自分の個性、そして自分自身のバックグラウンドのユニークさや文化を一番大切にするべきではないかと個人的には思っています。

◆最後に日本のみなさんにメッセージをお願いします。

私の映画を楽しみにしてくださっている皆さん、本当にありがとうございます。私自身、日本映画にたくさん影響を受けてきましたので、私の映画から日本映画の要素を見つけていただけたら嬉しく思います。今まで様々な国で上映してきましたが、それぞれ違った反応がありました。日本ではどのような部分に共感していただけるか、どのように受け止めていただけたのか、皆さんの感想を伺うのがとても楽しみです。是非、劇場でゆっくりご覧いただけたらと思います。

text : Chizuru Otsuka

photo : オフィシャル提供


▼『Riceboy ライスボーイ』本編映像 YouTube  

https://youtu.be/n10RLKtUgU4


アンソニー・シム監督 & 主演チェ・スンユン 来日決定!

『Riceboy ライスボーイ』日本公開を記念して、本作の監督、脚本、助演を務めたアンソニー・シム、主人公ソヨンを演じたチェ・スンユンの来日が決定した。公開初週末にヒューマントラストシネマ有楽町、Stranger、渋谷ホワイトシネクイント、アップリンク吉祥寺にて上映後に登壇予定。Q&A やサイン会、サイン入りパンフレット販売などを実施する。

【アンソニー・シム監督&主演俳優チェ・スンユン 来日舞台挨拶イベント】

© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.
© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.

①    4月3日(金)夜の回 @渋谷ホワイトシネクイント(監督&主演登壇挨拶、Q&A)

②    4月4日(土)13:30の回 @アップリンク吉祥寺(監督&主演登壇挨拶、Q&A、サイン会)

③    4月4日(土)18:00の回 @ヒューマントラストシネマ有楽町

(監督&主演登壇挨拶、Q&A、サイン入りパンフレット販売(先着販売))

    4月5日(日)昼頃の回 @Stranger(監督登壇挨拶、Q&A、サイン会)

※イベント詳細やサイン会実施の有無・参加条件は劇場により異なります。映画公式 HP、SNS、劇場 HP にて詳細をご確認ください

舞台挨拶は本編上映後を予定しております

サイン会へのご参加は、パンフレットをご購入いただいた方のみとさせていただきます

※舞台挨拶は登壇者の都合により中止、または内容が変更となる場合がございます

Stranger でのイベント登壇者は、アンソニー・シム監督のみを予定しております

INTRO

「最初から最後まで美しい」「涙が止まらなかった」——

母と息子の記憶を 16mm フィルムで紡いだ、まばゆい感動作!

監督・脚本を手がけたのは、自身も 8 歳で韓国からカナダに移住した経験を持つアンソニー・シム。1990 年代のカナダを舞台に、移民としてのアイデンティティの揺らぎ、親子の葛藤と再生を、16 ミリフィルムの柔らかな質感と共に繊細に描いた。トロント国際映画祭のプラットフォーム・コンペティション部門で最優秀賞を受賞し、釜山国際映画祭の観客賞やカナダ・アカデミー賞の最優秀脚本賞など世界中の映画祭で 31 の賞を受賞、20 以上の部門でノミネートされ話題となった。個人の記憶に根ざしながらも、誰もが共感できる痛みと、その先に差す光をすくいとった、静かで力強い作品が誕生した。

STORY

© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.
© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.
© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.

STORY 

© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.

1999 年。あなたの本当の想いに触れて、僕は僕を知った。ざらついた記憶に宿る故郷の景色と、母の無償の愛—— 若くして恋人を亡くし未婚の母となったソヨンは、赤ん坊の息子ドンヒョンを連れてカナダのバンクーバー郊外へと移住する。

ソヨンは工場で働きながら、言葉や文化の壁、人種差別に直面する日々の中、懸命に息子を育てていく。

やがて 16 歳となったドンヒョンは英語名“デービッド”を名乗り、すっかりカナダでの生活になじんでいた。しかし、彼の心の奥底では自身のルーツ、特に一度も会ったことのない父親の存在への思いが次第に募っていく。そんなある日、二人に届いた衝撃的な知らせをきっかけに母と息子は初めて韓国へ帰郷し、悲しみの過去と対峙することになる——。

© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.
© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.
© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.
© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.
© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.
© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.

★YouTube リンク(特報): https://www.youtube.com/watch?v=vs3qczp-f8U  

公式サイト : https://culturallife.co.jp/riceboy 


© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.
© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.

監督:アンソニー・シム 

出演:チェ・スンユン、イーサン・ファン、ドヒョン・ノエル・ファン、アンソニー・シム 他 

原題:Riceboy Sleeps |カナダ|2022 年|117 分|カラー|英語・韓国語|フラット|5.1ch|PG12 

日本語字幕:島﨑あかり|字幕監修:稲川右樹|後援:カナダ大使館|配給・宣伝:カルチュアルライフ 

© 2022 Riceboy Sleeps Production Inc. 


<権利表記>

◆タイトル 映画『Riceboy ライスボーイ』

◆クレジット © 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.

◆公開表記 2026年4月3日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、Stranger、 渋谷ホワイトシネクイント、アップリンク吉祥寺 ほか全国順次公開


◆公式サイト https://culturallife.co.jp/riceboy

公式X (@Riceboy-film ) https://x.com/Riceboy_film

公式 Instagram @culturallife_filminfo