【韓ペンオリジナルレポ】~テジュ~ 11月をもって俳優活動に一旦ピリオド。「今、自分に出来ることを精一杯やりたい。」愛するファンと今までの軌跡を振り返ったラストイベント。「出会ってくれてありがとう!」

俳優テジュが2021年11月をもって一旦 芸能活動にピリオドを打つこととなった。

テジュは2011年にデビュー。2018年 日本に移住し精力的に俳優活動を行ってきた。 舞台、ミュージカル、朗読劇、映画、TVドラマ、etc… 様々なシーンで活躍し、その演技力の高さより ぜひ作品に出演してほしいとテジュのために書き下ろした役を与えられるほど厚い信頼を得ていた。

しかし、約2年続く新型コロナウィルスの猛威は日本のエンタメ界に大きな影響を与えた。予定していた公演や撮影が中止、延期、縮小。いまだ終わりの見えない状況下、考える時間だけが増える日々…

テジュは勇断を下した。

活動出来ない時間を無駄にしたくない、家族や周りに迷惑をかけることもしたくない。今、自分に出来ることを精一杯やりたい。

テジュは長く続けて来た公式LINE LIVE『テジュの元気爆発』最終回をファンと過ごす最後の場にしたいと、2021年8月21日、東京スカイツリーすぐ傍の会場にて無料公開イベントを開催した。

当日会場に来ることの出来ないファンにはオンラインで時間を共有した。

(※イベントは換気、検温、消毒、座席の配置、入場人数の制限など出来る限りの新型コロナウィルス感染対策がとられた上で開催された。)

当日は会場で配られた用紙に書かれた質問にファンが回答を記入。それに基づき番組が進められた。

「一日だけ透明人間になれたら?」という質問にファンからは「テジュにドッキリを仕掛けたい」「テジュのあとを追いかける」「素のテジュが見たいから一日の行動を観察する」「テジュの私生活を見てみる」「ずっとテジュのそばにいたい」など予想以上にファンが自分に興味を持ってくれていることに照れくさそうにしたり、ビックリしたり、ニヤけたり。俳優なだけに反応と共にくるくる変わるテジュの様々な表情を会場のファンは目に焼き付けていた。

その後、会場のファンを回答者として心理テストなども行ったが、漢字で書かれた解説文を読むテジュ。 日本での生活が長く日ごろの会話には一切困ることはないが、難しい漢字を含む解説文は時々読み間違えたり、読み方がわからなかったり… その間違いかたがとても愛らしく、ファンたちからは笑顔が溢れた。

コーナーのあとテジュより日頃応援してくれているファンたちに

「今日で芸能活動を中止して韓国に帰ることになりました。韓国では自分のブランドを作って事業主になりたいと思っています。芸能活動に関してはまだ何も決まっていませんが僕が目標としていることがいつか叶う日が来るように。 本当にありがとうございました!」

感謝の言葉で みんなに愛されてきた『テジュの元気爆発』は締めくくられた。

会場ではその後、第二部として『最後のトークイベント』が開催された。

今回はテジュのスタッフ考案で、“テジュと歩んで来てくれたファンと今までを一緒に振り返ろう”と、過去の秘蔵映像や写真と共に思い出やエピソードを語る時間となった。

今まで数々の作品に出演したテジュは映像の1つ1つを懐かしそうに眺めていた。

  • デビューシングル『TwinkleStar』のMVを海で撮影した時は周りにいる人たちが見ていて恥ずかしかった。
  • 東日本大震災復興イベント『福魂祭』に参加出来、それまで日本のかたたちから与えてもらってばかりだったが、自分から与えることが出来たことがとてもうれしく満足感を感じられた。
  • 朗読劇『最果てリストランテ』はとても緊張したが、村井良大氏をはじめ共演の日本人役者さんの安定した表現力を見ることが出来、大切な経験となった。
  • ABEMA TVの『恋愛ドラマな恋がしたい』があったから今の自分がいると思う。
  • 『夏の夜の夢』は大好きなシェークスピア作品に出演することが出来て嬉しかった。品のある女性の動きを研究して臨んだ。
  • ドラマ『奪い愛・夏』は鈴木おさむさんがわざわざ自分のために韓国人の役を作ってくれた
  • 『蘇州夜曲』は自分的に好きな役だった。 ダンスシーンがあったが、ずっとやっていなかったこともあり挫折感も味わった。
  • 大好きな劇団5454の舞台「カタロゴス〜『青』についての短編集~」は一番気楽に素で演じることが出来た作品。
  • 能楽堂リーディング『TOKYO 香久之宮』は平将門をめぐる伝説を能と現代のコラボで表現し、自分には新たな挑戦の舞台となった。

この他、多数作品の映像・写真とともにテジュのこれまでの軌跡を振り返った。画面を懐かしそうに眺めたり、愛おしそうに眺める姿に テジュがどれ程までに演じることが好きなのかが伝わってきた。

テジュが親しくしているFlowBackのマークとREIJIからサプライズコメントが流れ、嬉しそうに画面を見つめていた。

自分の今日までを見返したテジュは

「経験もすごく大事ですが、たくさんの人に出会い、人と人とのつながりもとてもステキなことだと思いました。たくさんの楽しい思い出を持って生きていきたいです。」

突然スタッフがステージに登場。

この日の1部が終わったあと『テジュの元気爆発』のバックにいつも飾られていたスローガンにファンたちが寄せ書きをしたものと、ケーキが贈られた。

突然の出来事に驚きながらもファンが心を込めて書き込んだメッセージを見つめ「大切にします。ありがとうございます。」と感慨深げに語った。

「俳優として過ごした時間は自分の人生で一番濃厚な時間でした。皆さんと出会って、支えていただいてすごく感謝しています。今日は手紙を書いてきました。」と、この日のために準備した手紙をジャケットから取り出した。

「4年間、母国では経験出来ない様々な経験をしました。皆さんの応援が無かったら、こうやって夢のように過ごすことは出来なかったと思います。これからは芸能人テジュではなく、一人の人間、チェ・テジュとしてよろしくお願いします。4年間本当にありがとうございました。」 (※内容抜粋)

心を込めて書いた手紙を読みながら涙を浮かべる瞬間も見られた。

読み終えると突然客席から

「テジュ!出会ってくれてありがとう!!」とファンの代表が声をかけ、サプライズで用意したスローガンをみんなで掲げた。

嬉しそうに客席のひとりひとりを見つめながら

「実はこの前作った曲を今自分ですべて作業して音源にしています。本当は今日に間に合わせたかったのですが。 なので どうか公開を楽しみにしていてください。」とテジュからのサプライズプレゼントも発表された。

所属事務所の社長も来場し、今まで頑張ってきたテジュに花向けの言葉を贈った。

「どこの現場に行ってもテジュの演技はいつもほめられた。テジュは十分に頑張ってきた。今回4年で活動を終えるが、何事も4~5年くらいで結果は出せない。これからの長い時間、もしも中途半端だと言われてもそれは新しいことをやっているからで、とてもかっこいいことなのだから、もしそう言われても頑張りすぎず、続けることが大事だと考えてほしい。これからも事務所は所属するしないに関係なくサポートさせてもらうから何年かけても自分の考えた人生を諦めず進んでほしい。」

事務所と所属俳優という枠を超えた絆で結ばれ、今までもこれからもテジュを親心をもって見守ることを約束した。

4年という歳月はテジュに多くの出会いや経験をもたらした。それはこれからの人生でも多面にて役立つことだろう。

韓ペンではテジュさんの様々な舞台を取材させていただき、何度かお話を伺わせていただいてきた。 改めて感謝の気持ちとエールを送りたい。そしていつか何かの活動する機会には是非成長した姿を読者の皆様にお伝えしたい。

今までお疲れ様でした。またいつか会える日まで!

Text & Photo :  Chizuru Otsuka